建設業のBCPとは?ガイドラインや策定する流れ、ポイントを解説

建設業のBCPとは?ガイドラインや策定する流れ、ポイントを解説
建設業のBCPとは?ガイドラインや策定する流れ、ポイントを解説

建設業のBCPとは?ガイドラインや策定する流れ、ポイントを解説

建設業は、全国各地に現場が点在し、野外での作業も多いことから、自然災害などの影響を受けやすい産業です。自然災害などで作業が中断すれば、工期遅れなどからコスト増につながるだけでなく、顧客からの信頼を失うことにもなりかねません。こうしたリスクに備えるためにもBCPの策定は重要です。この記事では、建設業のBCPの必要性や、具体的な策定手順、策定の際のポイントなどについて、詳しく解説します。

建設業のBCPとは?

BCPとは、自然災害や事故などで事業が中断した場合でも、重要な業務を可能な限り継続し、早期復旧させるための計画のことを指します。建設業は、現場が全国に点在しているケースも多く、それだけに被災する可能性も高く、ひとたび災害が発生した場合の事業への影響も大きくなる傾向にあるため、BCPが非常に重要な業種といえます。ここでは建設業のBCPについて、その必要性やガイドライン、策定しないリスクについて、詳しく解説します。

必要性

建設業では、現場が全国各地にあるケースが多く、人員や重機などの設備、資材などが分散しているため、災害の影響を受けやすい業種です。災害発生により、工事の進捗が滞ったり、安全確保に問題が生じたりすると、工事の長期化や追加コストの発生など、さまざまな課題を招きます。また、工事には自社だけでなく複数の協力会社が関わっていることが多く、連携に影響が出ることで深刻な支障をきたすことにもなりかねません。BCPを事前に整備しておくことで、これらのリスクを抑え、従業員の安全を守っていくことが非常に重要だといえるでしょう。

ガイドライン

BCPについては、さまざまな機関からガイドラインが示されています。国土交通省関東地方整備局が公表している「建設会社における災害時の事業継続力認定の申請に向けたガイドライン」では、建設会社に対し「災害発生時の被害想定」「災害発生時の指揮命令系統や対応拠点の確保、情報共有の重要性」「二次被害の防止」などについて、示されています。また、日本建設業連合会が発表している建設BCPガイドラインでは「復旧目標時間の設定」「重要な要素の抽出」「対応手順の整備」「訓練・見直しの実施」の重要性が示されています。BCPの策定においては、これらのガイドラインを踏まえた計画作りが必要といえるでしょう。

策定しないリスク

BCPを策定していない状態で、災害などが発生した場合、以下のようなリスクがあります。

  • 災害の被害拡大・工事中断・納期遅延による信用失墜
  • 復旧遅延による受注機会の損失
  • 従業員や協力会社の安全確保の遅れによる労働災害発生、訴訟
  • 事業再開の遅れによる資金繰りの悪化、人材の流出

上記の通り、BCPを策定していない場合、工事の進捗に遅れが出るだけでなく、経営的なダメージも甚大になります。BCPの策定は危機管理の側面だけでなく、企業の事業継続を支える経営戦略の一部ともいえます。

建設業のBCPを策定する流れ

では実際に、建設業のBCPを策定する際の具体的な流れをご紹介します。

検討対象とする災害を特定する

BCP策定にあたり、まずはBCP対策の対象とする災害は何かを検討・特定します。特定する災害は、通常業務に影響が及び事業に著しい損失を与えるものをピックアップします。どの災害を対象とするかは、企業の規模や事業内容、地域などによって異なります。災害の種類は、事業への著しい影響があるという観点から、自然災害だけでなく感染症によるパンデミックやセキュリティ事故、環境汚染なども対象となります。BCPは、災害の内容によって対応策が大きく異なるため、まずは検討対象とする災害を洗い出すことが重要です。

各災害の影響度を評価する

災害が特定できたら、それぞれの災害がどの程度、企業や事業に影響を与えるのかを評価します。影響度は企業が耐えうる事業の停止期間や継続できる業務の割合など、さまざまな観点から行います。評価の際には、平常時での「通常業務」と、災害発生によるインフラ復旧業務などの「応急業務」に分けて考えます。

重要業務が受ける被害を想定する

次に重要業務が受ける被害を想定します。重要業務とは、自社の事業継続において、絶対に止められない業務のことを指します。災害が発生した場合、すべての事業や業務を即座に再開することは困難です。利用可能な設備や人材が限られていることを前提に、再開すべき重要業務を特定し、その被害を想定します。この際、ヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源にどのような影響があるのかを中心に想定します。

重要な要素を抽出する

重要な業務が受ける被害が想定できたら、次に重要業務の継続や復旧を妨げるボトルネックとなる要素を抽出します。BCP策定では、業務の停滞や生産性の低下といったボトルネックを前提に計画することが大切です。具体的には代替要員の確保や資材・重機の調達、資金繰り、データバックアップ、代替拠点などがそれにあたります。事業継続において必要な要素を抽出して整理することが、効果的なBCP策定に直結します。

計画を立てる

これまでに検討した災害想定や重要業務、ボトルネックなどを踏まえて、具体的なBCPを策定します。BCP策定においては、以下のような項目を意識して対応手順を具体化します。

  • 災害時の指揮命令系統
  • 従業員の安否確認体制
  • 復旧までの目標時間
  • 情報システムのバックアップ
  • 災害時の業務ごとの復旧対応方法
  • 情報共有方法
  • 施工中の案件への対応
  • 定期的なBCPの点検、訓練計画

策定にあたっては、それぞれの手順を明確かつ詳細に定めておくのがポイントです。協力会社や取引先との合意形成も含めて計画しておきます。

運用を開始する

BCPは策定して終わりではなく、運用と改善を継続することが重要です。従業員への周知、訓練やテストなどを行い、実際に被害が発生した際に従業員が冷静に対応できるよう準備します。常に状況は変化していくため、策定したBCPは定期的に見直し、最新の状態を維持できるようにしておく必要があります。

建設業のBCPを策定する際のポイント

最後に建設業のBCPを策定する際のポイントについて解説します。

従業員の安全確保を最優先にする

1つ目のポイントは、従業員の安全確保を最優先にすることです。BCPは事業継続、早期復旧が主な目的ですが、それはあくまで人命確保が最優先であるという前提の上です。災害発生時には、復旧よりも速やかな避難、安全確保が最優先です。BCPでは、まずは従業員の安全確保、負傷者への対応、医療機関への搬送ルートなども事前に決めておくのがポイントです。

現場特有のリスクを考慮する

2つ目のポイントは、現場特有のリスクを考慮することです。建設業の場合、災害時には業種特有のリスクが多く存在します。具体的には、仮設足場の倒壊、重機の転倒、資材流出などです。これらによる二次被害を防ぐため、危険区域の封鎖や安全確保の手順、危険物の保管や移動方法など、建設現場に応じたリスク対策を計画に盛り込む必要があります。

協力会社や取引先との連携を重視する

3つ目のポイントは、協力会社や取引先との連携を重視することです。建設業では、複数の協力会社が連携して案件が進められるのが特徴です。災害時には、これらの協力会社や取引先との連携についても、計画しておく必要があります。安否確認の方法や資材調達状況の共有、代替要員の補完など、BCPの策定においては、協力会社や取引先との連携についてもBCPに織り込みましょう。協力会社との共同訓練などの連携強化を織り込むのも効果的です。

定期的な見直しと訓練を実施する

4つ目のポイントは、定期的な見直しと訓練を実施することです。BCPは一度策定したら終わりということでなく、災害発生時にしっかりと対応できるよう、日常的に運用が行われていくことが重要です。従業員へのBCPの周知、教育、訓練などを定期的に行い、災害発生時には従業員全員が適切な対応ができるようにしておきましょう。また、企業を取り巻く状況は常に変化し続けています。少なくとも年に一度は全体の見直しを行い、常に最新の状態にしておくようにしましょう。

まとめ

本記事では、建設業におけるBCPの必要性や具体的な策定方法、策定の際のポイントなどについて、詳しく解説しました。建設業におけるBCPは災害発生時に従業員の安全を確保しつつ、工事の遅延や信用失墜など、致命的な経営リスクを極力防ぐために重要な取り組みとなります。策定にあたっては、工事現場特有のリスクや協力会社との連携を考慮し、建設業の実態に即した内容とすることが重要です。株式会社ダイテックが提供する注文分譲クラウドDXでは、BCPを含めて生産性向上や働き方改革など、建設業のDXを実現する機能が幅広く搭載されています。BCPの策定、運用でお悩みのご担当者様はぜひ一度ご覧ください。