工事請負契約書とは?目的・記載事項・注意点などを解説

工事請負契約書とは?目的・記載事項・注意点などを解説
工事請負契約書とは?目的・記載事項・注意点などを解説

工事請負契約書とは?目的・記載事項・注意点などを解説

工事を依頼する際に必要となるのが工事請負契約書です。口頭のみでやりとりを進めると、後から「言った・言わない」の争いに発展することがあります。こうしたトラブルを防ぐためにも、工事請負契約書は重要です。契約内容をあらかじめ書面で明確にしておくことで、工事の範囲や費用、工期に関する認識のズレを防ぐことにもつながります。本記事では、工事請負契約書の基本的な内容や、作成時の注意点を解説します。

工事請負契約書とは?

工事請負契約書とは、発注者が受注者に工事を発注する際に、工事の内容や金額などの条件を書面で確認するための契約書です。双方の認識にズレが生じるのを防ぐ役割を持つ重要な書類です。建設工事は数か月といった長期にわたって行われることも多く、その途中で設計変更や資材価格の変動が起こることもあります。そのため、工事請負契約書には契約に関する基本事項だけではなく、想定外の事態が起こった際の対応策まで盛り込まれるのが一般的です。

目的

工事請負契約書を作成する目的は、工事の内容や仕様を明確にしてトラブルを防ぐことにあります。契約書に詳細を記載しておくことで、認識のズレを減らす効果が期待できます。万が一トラブルが生じた場合でも、あらかじめ対応ルールを定めておくことで不要な衝突を避けやすくなります。また、契約内容を双方にとって公平なものにするためにも大切な書類です。

法定の記載事項

工事請負契約書に記載すべき内容は、建設業法によって以下のように定められています。

【建設工事の請負契約の内容】

  • 工事内容
  • 請負代金の額
  • 工事開始時期と完成時期
  • 工事を行わない日や時間帯を定める場合は、その具体的な内容
  • 前払い金や出来高での支払いを行う場合は、その時期と方法
  • 設計変更、工事の延期または中止があった場合の工期や代金の変更、損害負担
  • 天災などによる特別な事情が生じた場合の工期変更や損害負担
  • 物価変動などによる工事内容および代金変更の詳細
  • 工事の施工で第三者に損害が生じた場合の賠償の取り扱い
  • 発注者が資材や機械を提供・貸与する場合の内容と方法
  • 注文者による完成確認のための検査の時期や方法、引き渡しの時期
  • 工事完成後の代金支払い時期と方法
  • 契約不適合責任(完成した建物などが契約内容に合わない場合の責任)や保険に関する定め
  • 支払いの遅延や契約違反があった場合の遅延利息や違約金
  • 契約に関する紛争が起こった場合の解決方法
  • そのほか、国土交通省令で定める事項

項目によってはあとから変更が生じることもありますが、その場合は変更内容を書面で残しておきましょう。

(※)参照元:e-Gov 法令検索「建設業法(第十九条)」

作成が必要な工事内容

住宅・ビル・店舗などの建物に関する工事を行うケースでは、工事請負契約書が必要となります。金額の大小にかかわらず工事請負契約書を作成するのが基本です。新築工事だけではなく、リフォームや改修工事、増築工事なども対象となります。

工事内容や範囲を明確にするためにも契約書の作成は欠かせません。契約書を作成せずに進めてしまうと、工事内容の認識に違いが生じやすくなるほか、追加費用をめぐるトラブルが発生しやすくなります。こうしたリスクを避けるためにも、工事の種類を問わず事前に書面で契約条件を整理しておくことが重要です。

工事請負契約書の注意点

工事請負契約書を作成する際には、いくつか注意点があります。これはトラブルを避けるためにも押さえておきたいポイントです。特に以下の4点はよく確認しておきましょう。

追加工事・変更手続きなどを明記する

工事開始後に材料費の高騰や施主の要望による仕様変更などが発生することもあります。こうした場合に備えて、変更手続きの方法や、そもそも変更が可能かどうかをあらかじめ契約書に記載しておきましょう。

このような変更が一切できない形で契約した場合には、施工業者が赤字を被ってしまうこともあるため注意が必要です。もちろん、赤字を避けるためであっても工事の品質を落とすことはできません。品質を落として対応した場合は自社の評判も落ちてしまう可能性があります。

トラブル発生時の解決方法を定める

工事中に発生するトラブルの中には、予想できないものも多くあります。場合によっては損害賠償責任が生じることも考えられるので、何らかのトラブルが発生した際の解決方法を定めておきましょう。

そのルールが自社にとって極端に不利な内容になっていないかを事前に確認することも重要です。契約内容については自社のみで決めることはできないため、契約交渉の中で削除・修正を求めることになります。

見積内容を正確に記載する

見積書の内容が正しく工事請負契約書に記載されているか確認しましょう。分かりにくい部分や、記載のない項目に関しては契約前に必ず確認・質問しておくことが重要です。あとから問題点に気付いても、契約締結後では変更や修正ができない場合もあります。

細かいポイントは確認しにくいと感じる場合もありますが、曖昧になっている部分はトラブルにつながりやすいため注意しましょう。

工事範囲や責任区分を明確にする

具体的な工事の範囲と責任区分は、はっきりさせておかなければなりません。ケースによっては引き渡し後に不具合が見つかることもありますが、その場合に誰がどの範囲まで責任を負うのかあらかじめ定めておくことが大切です。責任区分を明確にしておけば、トラブル発生時にすべて自社の責任とされる事態を避けやすくなります。トラブルが起こってから慌てないようにするためにも、明確に定めておきましょう。

工事請負契約書に関するよくある質問

工事請負契約書を作成するにあたり、疑問を抱えている方もいるでしょう。ここでは、工事請負契約書に関するよくある質問と、その回答を紹介します。

収入印紙は必要ですか?

工事請負契約書は印紙税額の一覧表(その1)の第2号文書に該当するため、契約金額に応じた収入印紙を貼付しなければなりません。なお、2014年4月1日から2027年3月31日までの間に作成される建設工事の請負に関する契約書で、契約金額が100万円を超えるものに関しては印紙税が軽減される措置が取られています(※)。契約金額と印紙税額についてはよく確認しておきましょう。

(※)参照元:国税庁「建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置」

書面ではなく、電子契約で締結できますか?

建設工事の請負契約は、従来は紙の契約書を交付する方法が一般的でした。しかし、建設業法が改正され、建設業法19条3項によって一定の要件を満たせば電子契約サービスを利用した締結も認められています(※)。電子契約サービスを利用し、契約書を電子データとして締結すれば印紙税は不要であることも押さえておきましょう。これは、印紙税が紙の文書を対象とする税であり、電子契約で作成される電子データはその対象外とされているためです。

(※)参照元:e-Gov 法令検索「建設業法(第十九条第三項)」

法令に違反すると罰則を受けますか?

建設工事の請負契約では、工事内容や請負代金の額などを書面に記載し、相互に交付することが建設業法によって義務付けられています。この義務に違反した場合は、建設業法28条の定めにより国土交通大臣または都道府県知事から指示を受けることがあります(※)。さらに、その指示に従わないと同条3項により営業停止処分を受ける可能性もあるため、十分に注意しましょう(※)。状況によっては同法29条1項8号により建設業の許可取り消しとなるおそれもあります(※)。

(※)参照元:e-Gov 法令検索「建設業法(第二十八条)」「建設業法(第二十九条第一項第八号)」

まとめ

工事請負契約書には、工事内容や契約条件を明確にするだけでなく、工事中や引き渡し後のトラブルを未然に防ぐ重要な役割があります。建設業法で定められた記載事項を正しく盛り込み、契約内容を適切に管理することが、円滑な工事の実施につながります。また、契約書は作成して終わりではなく、その後の見積・実行予算・発注・請求・支払いなどの業務と連携して管理することも重要です。

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