工事見積書の諸経費とは?内訳・計算・記載方法・注意点を解説

工事見積書の諸経費とは?内訳・計算・記載方法・注意点を解説
工事見積書の諸経費とは?

工事見積書の諸経費とは?内訳・計算・記載方法・注意点を解説

工事見積書の「諸経費」は顧客にとってわかりにくい項目であり、業者側には丁寧な説明が求められます。しかし、具体的な内容や金額に幅があることなどについて、説明が難しいと感じるケースもあるでしょう。

本記事では工事見積書における諸経費の基本から相場、計算方法まで詳しく解説します。顧客に納得してもらえる説明を行うにはどのようなポイントがあるのかもあわせて紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

工事見積書の諸経費とは?

工事見積書に記載されている諸経費とは、直接工事に関連する施工費や材料費とは異なり、間接的にかかる費用のことです。ただし、諸経費は案件を完遂するのに必要な経費であり、現場経費と一般管理費を合わせた費用です。

たとえば、作業車両のガソリン代、福利厚生費、保険料、事務所の家賃などが代表的です。なお、住宅購入の際に土地・住宅の購入代金以外にかかる費用である「諸費用」とは異なるものなので、混同しないように注意しましょう。

相場

諸経費の割合は、工事全体の5~10%程度とされるケースが多く見られます。たとえば、2,000万円の工事であれば100万~200万円です。ただし、業界や企業によって大きく異なり、場合によっては30%ほどになることもあるため、あくまで目安としておきましょう。また、小規模の工事では管理コストが高くつきやすいことから、諸経費率が高めになることもあります。

幅が大きい理由

諸経費の金額は工事内容によって差が生じます。主な理由は、工事によって必要な管理や対応の内容などが異なるためです。たとえば、地方と比べると都市部の工事では近隣対応にコストがかかることがあります。また、会社ごとの経営方針や体制の違いも、諸経費に幅を生じさせる理由です。

顧客に「根拠がない金額」と思われないように、なぜその金額になるのかを具体的に示すことが求められます。説明を求められた際に根拠を提示できないと、不信感につながってしまう可能性があるため注意が必要です。

計算方法

諸経費の計算には2つの方法があります。

1つ目の方法は、直接工事費(材料費・労務費・直接経費の合計)に対して一定率を掛けて計算する方法です。

ここでいう「一定率」は工事の種類や規模などによって変わりますが、5~15%程度が目安です。たとえば直接工事費が3,000万円、諸経費が8%だった場合は「3,000万円×8%=240万円」となります。

2つ目の方法は、現場管理費や一般管理費といった項目ごとに金額を算出し、合算して計算する方法です。

計算が簡単なのは直接工事費に一定率を掛ける方法ですが、より正確性や透明性を高めやすいのは、現場管理費と一般管理費を項目ごとに計算して合計する方法です。どちらの方法で計算するか事前に検討しておく必要があります。

工事見積書の諸経費の内訳

諸経費はまとめて記載されることが多いものの、内訳は大きく「現場経費」と「一般管理費」に分けられます。どちらも重要な費用ではありますが、それぞれ役割が異なるので何が含まれているのか確認しておきましょう。

現場経費

現場経費とは工事現場を運営するうえで発生する費用のことで、主な項目は以下のとおりです。

  • 現場管理人件費:現場監督や管理担当者の対応費用
  • 機材損料:建設時に必要となる機材の管理や修理などにかかる費用
  • 電気・水道などの使用料:工事期間中に使用するライフライン費
  • 安全対策費:保安用品や安全標識などの費用
  • 施工図作成費:施工図を外注するのにかかる費用
  • 清掃・片付け費:工事中や完了時の整理整頓費用
  • 労務管理費:作業服のクリーニング代や安全メガネなどの費用
  • 従業員給料手当:現場監督や現場事務員の給料・賞与、工事とは直接的に関係しない交通費など
  • 仮設事務所・仮設トイレ費:現場運営に必要な仮設設備
  • 養生費:建物や周辺を保護するための費用
  • 通信交通費:工事で必要となる車両のガソリン代・駐車場代などの費用
  • 保険料:工事保険、火災保険、労災保険など各種保険加入にかかる費用
  • 法定福利費:現場で働く従業員の雇用保険や健康保険などの会社負担分
  • 事務用品費:現場事務所で使用する事務用品の購入費用

現場によって費用は変わります。たとえば、安全管理を厳しく行う現場では、安全対策に追加の費用がかかる場合があります。

一般管理費

一般管理費は、会社の運営に必要となる費用のことです。主に次のような費用が含まれます。

  • 労務費:本店・支店で働く経理・総務・管理部門の人件費
  • 事務所維持費:事務所の賃料や光熱費など
  • 法定福利費:本店・支店で働く従業員の労災保険料・雇用保険料
  • システム・IT利用料:業務管理や会計システムの費用
  • 家賃:事務所の家賃
  • 教育・研修費:社員の技術・知識維持のための費用
  • 宣伝広告費:各種宣伝にかかる費用
  • 調査研究費:調査や研究開発にかかる費用
  • 各種保険料:工事保険や賠償責任保険など
  • 営業・打ち合わせ関連費:受注や顧客対応に必要な費用
  • 雑費:その他費用

個別の工事に紐づく費用ではないうえ、顧客からは見えにくい費用ではありますが、企業運営を継続するうえで必要な費用といえます。一般管理費について顧客に説明する際は、万一のトラブル対応や継続的なサポートを行うために必要な費用であることを伝え、納得してもらいましょう。

工事見積書の諸経費の記載方法

工事見積書で諸経費を記載する方法には、一式の費用だけを記載する方法と、内訳と各費用の金額を記載する方法の2つがあります。それぞれ解説します。

一式の費用だけを記載する

一式として総合的な諸費用のみをまとめて記載する方法です。見積書を簡潔にできるメリットがある一方で、顧客からすると「なぜこの金額になるのかわからない」「何にいくらかかっているのか把握できない」といった不安や不満につながることがあります。

費用の詳細について説明を求められる場面も想定され、顧客対応に時間を要するケースもあります。

内訳と各費用の金額を記載する

顧客から見てわかりやすく、金額の根拠を明確にしたい場合は、内訳と各費用の金額を記載するとよいでしょう。具体的に何にいくらの費用がかかっているのかは、工事見積書を見ればわかる状態になるため、問い合わせ対応の手間を減らすことにもつながります。

ひとつひとつ金額を記載することで必要な費用であるという印象を持ってもらいやすい点も、内訳と各費用の金額を記載する利点の一つです。

すべてを細かく記載する必要はありませんが、金額の根拠が想像できる形で記載しておくと顧客も納得しやすくなります。

工事見積書の諸経費に関する注意点

工事見積書の諸経費について、とくに重要な注意点といえるのが、説明を求められた際に誠実に対応することです。開示義務が法的に定められているわけではありませんが、丁寧でわかりやすい説明を行うことは顧客から信頼を得るためにも重要になってきます。

諸経費の中には目に見えない成果物もあるため、十分な説明を行わずにいると「不要な費用を上乗せされた」と誤解を招くことがあります。

説明を行う際は、顧客にとってなじみのない言葉は極力使用しないようにすることもポイントです。場合によっては諸経費を下げてほしいと要望が出ることもありますが、値下げによって安全対策などに影響が出る場合は、安易に応じないようにすることも注意点といえます。

まとめ

工事見積書の諸経費は直接工事に紐づく費用ではありませんが、工事を安全かつ円滑に進めるために必要不可欠な費用です。顧客の中には金額に疑問を持つ方もいるので、質問された際はわかりやすく説明ができるように準備を整えておきましょう。

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