建設業のヒヤリハット事例とは?報告書や対処法・防止策も解説
建設業のヒヤリハット事例とは?報告書や対処法・防止策も解説
工事現場にはさまざまな危険が潜んでおり、「大きな事故にはつながらなかったものの、危険を感じた」と思うことは少なくありません。こうした出来事は放置すると重大事故につながるおそれがあります。
本記事では、建設業におけるヒヤリハットの基本や代表的な事例、具体的にどのような防止策に取り組んでいけばよいのかなどを解説します。報告書の書き方や対処法についても確認しておきましょう。
ヒヤリハットとは?
ヒヤリハットとは「ヒヤリとした」「ハッとした」と感じるような一歩間違えば事故につながっていた出来事のことを指します。実際にケガや物損が発生しなくても、少し条件が違っていれば事故となっていたと思われる出来事がヒヤリハットです。
発生する原因
ヒヤリハットが発生する原因はいくつかありますが、特に多いのがヒューマンエラー(人的要因)です。初めて行う作業では誰しも慎重になりますが、慣れてくると油断や思い込み、確認不足などによって危険を見逃してしまうことがあります。
また、足場が不安定、照明が暗いなどの作業環境・設備要因によってヒヤリハットが起こることも珍しくありません。さらに、安全管理体制の不備も大きな要因の一つといえるでしょう。
対策の必要性(ハインリッヒの法則)
ヒヤリハット対策が重要とされている理由として「ハインリッヒの法則」が挙げられます。この法則は、アメリカの損害保険会社に勤務していたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏による経験則です。「1件の重大事故の裏側には29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300件のヒヤリハットが存在する」という考え方のことをいいます。
つまり、大きな事故は突然起こるわけではなく、小さなヒヤリハットを見逃したために発生するという考え方です。深刻な事故を防ぐためにも、早い段階で対処しましょう。
建設業のヒヤリハット事例
ここからは、実際に建設業のヒヤリハット事例を紹介します。どのようなポイントに注意すべきか確認していきましょう。
墜落・転落
木造3階建て集合住宅の工事現場において、足場上で塗料缶を受け取る際に体勢を崩して墜落しそうになりました。足場の前に出すぎた不安定な姿勢で受け渡しをしようとしたことや、墜落防止の手すりが外されていたことなどが主な要因となっています。
挟まれ・巻き込まれ
インパクトドライバーを使用する作業の最中、手袋を着用した手が回転するドリルに巻き込まれそうになりました。本来近づけてはならないインパクトドライバーの回転部に手を近づけてしまったこと、手袋を着用していたことが危険を招いた要因です。
飛来・落下
足場の解体をしていた際、架台に固定されていると思っていた足場材のクランプを外したところ、資材が地上に落下しました。落下防止ネットの一端が固定されておらず資材は道路まで落下、仮に下に歩行者がいた場合、接触していた可能性がある非常に危険な事例です。
激突
国道改修工事でドラグ・ショベルを使用して残土を積み込む作業中、周囲に誰もいないと思い込んだ結果、確認することなく旋回して作業員と接触しそうになりました。不十分な立入管理や合図・監視体制が整っていなかったことが主な要因です。
転倒
長尺の足場用鋼管をクレーンで搬送中、荷が回転しそうになって介添えロープを引いた作業員が転倒しそうになった事例です。適切な玉掛け方法が取られていなかったこと、ロープの取り付けに関する知識不足などの要因によって発生しました。
建設業のヒヤリハットの対処法
ヒヤリハットが発生した場合は、適切な対処が求められます。以下の方法を実施しましょう。
工事現場の安全を確保する
ヒヤリハットが起こった時点で、工事現場は危険な状態にあります。「危なかったが問題ない」と判断して作業を続けるのは適切ではありません。まずは作業を中止し、周囲の安全を確認しましょう。
二次災害のおそれがある場合は、立ち入り禁止措置や資材の移動なども必要です。事故を防ぐために、足場の状態を整えたり、作業動線を確認したりすることも求められます。
報告書を作成する
ヒヤリハットの内容をできるだけ具体的に記録したうえで報告書を作成します。いつ、どこで、誰が、何をしていて、何が起こったのかを整理するのがポイントです。客観的に状況を伝えるために、写真やイラストなどを活用する方法もあります。
作業員の立場からすると、ヒヤリハットが起こった際に「報告すると責任を追及されてしまうのではないか」といった不安を感じることも少なくありません。そのため、会社としては報告しやすい雰囲気作りに取り組むことも求められます。
再発防止策を実施する
ヒヤリハットをただの報告で終わらせるのではなく、安全対策の見直しや作業手順書の改善など、具体的な再発防止策につなげていきましょう。その際、現場で働いていた従業員と意見交換を行うことが重要です。
工事現場の状況を把握している作業員に「なぜ起きたのか」「どうすれば防げるのか」といった意見を求めましょう。現場ではさまざまな危険があるので、安全管理に関する仕組みを整えたあとはそれが守られているか定期的に確認し、改善を続けていくことが求められます。
建設業のヒヤリハットの防止策
できる限り建設業の工事現場でヒヤリハットが起こらないようにするためには、どのようにすればよいのでしょうか。代表的な防止策を解説します。
工事現場の環境を定期的に点検・整備する
工事現場の環境を良好な状態に保つことは、ヒヤリハット防止のために欠かせません。資材が放置されたままであったり、工具が適切に整備されていなかったりする場合は思わぬ事故が起こりやすくなります。従業員一人ひとりが日常的に工事現場を点検する意識を持ち、整理整頓を行いましょう。
危険予知活動(KY活動)を継続的に実施する
危険予知活動とは、作業前に潜んでいる危険要因を洗い出し、具体的な対策を講じておく取り組みのことです。別名「KY活動」とも呼ばれています。
例えば、作業手順の具体的な確認や、使用する工具・資材の点検、保護具の装着チェックなどを行いましょう。現状を把握して危険要因を洗い出し、原因を深掘りすることが重要です。そのうえで対策を考え、工事現場で守るべき行動目標を設定して取り組んでいきましょう。
現場によって行わなければならない危険予知活動は異なるので、作業員が気づいたことを発言・報告できる雰囲気を作っておくことも必要です。
安全な作業の手順を明確にする
事故を未然に防ぐためには、作業手順を明確にした手順書を作成しておくことをおすすめします。作業目的や詳細な流れ、使用する資材・工具などを整理して情報を共有します。口頭で指示を出すことも可能ではありますが、手順書の作成は口頭での説明で起こりやすい解釈の違いを防ぐためにも有効です。
事例を共有して作業員の教育指導に役立てる
ヒヤリハットが発生した場合は、報告書を作成して関係者全員で共有したうえで教育や指導につなげましょう。実際に起こった危険な事例や他の人の失敗から学ぶことで、同じ危険を避けやすくなります。
他の工事現場で起こったヒヤリハットを自分事として捉えてもらうことが大切なので、ヒヤリハットの背景や原因なども含めて共有することが求められます。ヒヤリハットを自分事として捉えられなければ「いつか自分にも起こるかもしれない」といった危機感が生まれず予防のための対策につながらないことも考えられるため、注意が必要です。
まとめ
建設業はヒヤリハットが発生しやすい業種であり、それを見逃してしまうと重大な労働災害につながるおそれがあります。原因を正しく把握し、現場全体で情報を共有しながら継続的に改善を重ねていくことが、安全な現場づくりにつながります。
そのためには、ヒヤリハットの報告や安全情報をスムーズに共有できる仕組みを整えることが重要です。施工現場管理アプリ現場Plusでは、写真や資料、連絡事項の共有に加え、現場への入場時にKY(危険予知)活動を実施・記録できる機能もあります。毎日の安全確認をクラウド上で効率的に運用できるため、安全意識の向上やヒヤリハットの未然防止にも役立ちます。現場の安全管理や情報共有の効率化をご検討中の方は、ぜひ現場Plusをご活用ください。
