工事現場の安全管理とは?重要性・課題・方法・ポイントを解説
工事現場の安全管理とは?重要性・課題・方法・ポイントを解説
従業員の安全を守るためには、工事現場の安全管理が欠かせません。また、工期や品質を安定させるためにも安全管理が重要な役割を果たします。しかし、具体的に何をどのように行えばよいのかわからず、安全対策を十分に取れていないケースも少なくありません。本記事では、実践すべき安全管理の基本や現場で注意すべき課題、対策の考え方を解説します。
工事現場の安全管理とは?
工事現場の安全管理とは、事故や災害の発生を防ぎ、作業員が安心して働ける環境を整えるための取り組みを指します。現場で想定されるリスクに応じた対策を講じる必要があります。
重要性
工事現場には、さまざまな危険が潜んでいます。これらの危険から作業員を守るためには、安全管理が欠かせません。もし重大な事故が起これば、現場全体の士気が低下するだけでなく、企業としての信用も失うおそれがあります。一方で、安全管理がしっかり行われている現場は、作業員が安心して働くことができるため、働きやすい環境となります。その結果、作業の品質が向上し、現場全体の安定運営につなげることが可能です。
課題
建設業の安全管理で大きな課題となりやすいのが「重要性は理解しているものの、徹底できていない」という点です。これには、人手不足や工期の短さなどが関連しています。また、安全管理に力を入れるほどさまざまな確認や記録を残す作業が必要となるため、業務効率が低下しやすいのも課題です。その結果、作業員自身の安全対策が不十分になり、後回しにされるケースも見られます。
5つの要素(QCDSE)
工事現場の管理では「QCDSE」と呼ばれる5つの要素が指標として用いられています。
【QCDSE】
- Q(Quality:品質)
- C(Cost:原価)
- D(Delivery:工期)
- S(Safety:安全)
- E(Environment:環境)
安全のみを優先した場合は、工期やコストに影響が出るのは避けられません。しかし、安全を軽視した場合は事故や品質の低下を招くおそれがあります。これら5つの要素は相互に関係していることを理解しておくことが重要です。「安全対策を行うには時間やコストがかかる」と考えてしまうとなかなか前向きに取り組めません。しかし、安全対策を行うことで作業環境が整備され、手戻りが減り、結果として工期の短縮やコスト削減につながることもあります。
工事現場の安全管理の方法
作業員に対して「安全対策を徹底するように」とだけ伝えても、具体的な行動につながらないおそれがあります。そのため、何をすべきかを仕組み化したうえで、日々の業務に取り入れましょう。ここでは現場で実践しやすく、かつ効果が出やすい安全管理の方法を解説します。
リスクアセスメントの実施
現場にどのような危険要因が潜んでいるのかを洗い出し、そのリスクの大きさを評価して、適切な対策を講じる取り組みのことをリスクアセスメントといいます。たとえば、天候によって想定されるリスクは変わるほか、作業の段階によっても注意点は異なります。特に経験の浅い作業員は、現場に潜んでいるリスクを把握しきれていないことがあるため、想定されるリスクや事故が起きた場合の影響を言語化して共有しましょう。
安全衛生計画の立案
安全衛生計画とは、工事を安全に進めていくための心構えや具体的な行動などをまとめた計画のことです。特に複数の協力会社が対応する現場では、共有するルールを定めておきましょう。計画を立てる際は、過去の事故やヒヤリハット事例を反映させることにより、本当にリスクの高い危険に備えやすくなります。工事安全衛生方針や工事安全衛生目標、安全衛生活動、想定される危険性などについてまとめた工事安全衛生計画書を作成することをおすすめします。
作業環境の整備
作業現場の状況に応じて安全対策を講じていくことが重要です。たとえば、高所作業時は万が一に備えて転落防止対策を講じておかなければなりません。作業エリアの安全ネットの設置、照明や足場の点検、通路の確保なども大切です。
安全教育・訓練の実施
作業員への安全教育も行いましょう。自分事としてとらえてもらうためには、過去に起こった事故の事例などを含めて説明しておくと効果的です。建設業は事故率やけがの発生率が高いこともあり、座学だけでなく、実際の作業を想定した訓練が必要とされます。教育や訓練を実施する立場にある方は、行った内容の履歴を記録し、誰がどこまで受講を終えているのかを把握することも大切です。
設備・機器の点検
設備や機器の点検は非常に重要な項目ですが、特に忙しい現場では後回しにされたり、十分に行われなかったりすることがあります。わずかな不具合が重大事故を招く可能性もあるため、点検の方法やタイミングをルールとして定め、取り組んでいきましょう。誰がどのような形で実施するのかを定めておくことをおすすめします。
作業手順の確認
具体的な作業手順を考え、作業員全員が理解できるように周知しておきます。また、決められた作業手順通りに進んでいるかを定期的に確認することも重要です。労働災害防止に配慮した形で作業手順書を作成して取り組んでいきましょう。実際に作業を行っていくと、不適切な手順が見つかることも少なくありません。このような場合は、無理にあらかじめ定めておいた手順に合わせるのではなく、手順の改善も含めて検討することが必要です。
ヒヤリハット・事故の記録と共有
重大事故にはつながらなかったものの危うかった事例が「ヒヤリハット」です。少しでも環境が違えば事故になっていた可能性があります。実際に起こった事故のみに備えると、こういった事故のリスク対策が不十分になってしまうので、ヒヤリハットも含めて記録を行いましょう。どのようなヒヤリハット・事故が起こったかだけではなく、発生要因やその背景まで整理しておくことが求められます。ヒヤリハット・事故の記録は、現場内で共有することが大切です。現場に潜む危険性を作業員全員が把握しやすくなります。
クラウドシステムの導入
点検記録や教育履歴、ヒヤリハット情報を管理する方法として、昔から紙や口頭での管理が行われてきました。しかし、一元管理して必要な情報にすぐにアクセスできる状態にしたいと考えているのであれば、クラウドシステムの導入が効果的です。システム導入時は、初期設定や運用ルールの整備、操作習得などに一定の時間が必要です。しかし、運用が定着すれば入力や確認の手間を削減でき、忙しい現場でも活用しやすくなります。クラウドシステムを導入する際は自社にとって必要な機能が搭載されており、使いやすいものを選びましょう。
工事現場の安全管理のポイント
工事現場で適切な形で安全管理を行っていくためには、記録を活用したデータ分析が欠かせません。ヒヤリハットや事故、点検結果などのデータをもとに事故やトラブルの発生傾向、共通点などを把握しましょう。作業員の感覚や経験に頼る形になるとリスクを見逃してしまうおそれがあります。また、事故が発生してしまった場合の対応も事前に定めておきましょう。初動対応を明確にしておかないと対応が遅れて被害が拡大してしまう可能性があります。誰がどこに報告するのかは、働いている作業員全員が理解しておくことが大切です。事故発生時の現場は混乱しやすいので、教育や研修も含めて検討することが必要です。
まとめ
工事現場の安全管理は、作業員の安全を守り、重大事故を発生させないためにも重要な意味を持ちます。リスクを洗い出し、行うべき安全対策を作業員全員で共有しておきましょう。
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