クラウドで月次決算のスピードが大幅向上。粗利は確実に増えた。
あすなろ建築工房(神奈川県横浜市)は創業10年のアーキテクト・ビルダー。設計力と丁寧な施工で、顧客満足度が高い、自然素材を使った高品質な木造住宅を手掛けてきた。大手設計事務所から工務店業界に転身し、自らあすなろ建築工房を立ち上げた関尾英隆社長にお話を伺いました。

(株)あすなろ建築工房 代表取締役 関尾英隆様

神奈川県横浜市

数字ってすごく大事

35歳で工務店業界に入り、あすなろ建築工房を立ち上げたのは38歳のとき。ほかの工務店経営者に比べるとスタートが遅く、また経営に関してはまったく学んでこなかったので、最初の3年間はかなりの苦戦を強いられました。いくら頑張っても黒字にならない。なんでこんなに儲からないんだ、と(笑)その頃、いろんな工務店の先輩から「数字ってすごく大事だよ」「ちゃんと決算を見て、目標を立てて、数字通りになっているかをその都度チェックしないと工務店経営なんて続かないよ」と教えてもらったんです。当社にとって、お金の管理は大きな課題でした。当時の経理担当は70代のベテラン女性で、パソコンはまったくいじれず、入出金管理から決算まで、すべて手書きの紙伝票で通していました。そこまではいいのですが、経営者として正確な数字をいち早く把握するために「月次決算と現場ごとの粗利をその都度出してほしい」とお願いすると、「毎月は勘弁して」と泣きが入りました。全部手計算の彼女にとっては負担が大き過ぎたんですね。
そこで、僕自身が紙伝票の数字をエクセルに打ち込んで、邸別の粗利集計をやるようになりました。とはいえ、だいたいの粗利チェックはできても、着地点がどうなったのかはフタを開けるまでわかりません。月次決算が出るまでに1週間、年次決算に至っては約1カ月かかっていたため、お客様への請求忘れや、業者からの請求漏れもよく起きていました。

クラウドを選んだわけ

お金の管理に悩んでいたちょうどその頃、JBNの次世代の会の集まりで「ダイテックが開発中のクラウドがいいらしい」という情報を得た僕は、吟味のすえ導入を決めました。
なぜクラウドを選んだのかと言うと、知り合いの工務店が落雷事故やウイルスで社内データを全消失したり、有名企業の顧客情報漏洩の話を見聞きするなかで、安全なデータ管理にはクラウドが不可欠だと感じていたからです。

粗利チェックが超迅速に

クラウドを入れて一番良かったのは、月次決算と現場ごとの粗利の管理をほぼタイムラグなしにスピーディにできるようになったこと。工事中でも細かく粗利を見ていれば、目標の数字に落とし込むための調整もききますし、請求漏れ、図面と見積書の齟齬(そご)にもすぐに気づくことができます。
これまでは工期がずれたり、月をまたぐと漏れやミスが発生しやすかったのですが、それが防げるので、粗利は確実に増加。これはとても大きな収穫でした。
たかが1%の粗利と思うかもしれませんが、我々工務店が扱う金額を考えるとその影響は甚大です。粗利チェックをやるかどうかで会社に残るお金がまったく違ってきますし、目標通りの粗利が確保できないようでは今後生き残れない可能性もありますから、かなり重要な機能だと思います。

外出先でもストレスフリー

僕は、全国各地の素晴らしい工務店さんを訪ねて、家づくりや経営、大工育成の方法などを学ばせていただく機会が多く、それだけ会社を空ける機会も多いのですが、そんなときもクラウドの良さを実感します。外出先で月次決算や見積書のチェックをしてパパッと返信したり、現場の進捗を確認したりと、出張中に仕事が滞ることはまずありません。
また、近くまで来たからオーナーさん宅に顔を出しておこうというときに、顧客情報や対応履歴をサッとおさらいしたり、商談前に過去の類似工事の金額を確認したりと、どこにいても情報にアクセスできるのが便利です。おかげで、社内に電話をかける機会がめっきり減り、資料探しの手間から解放されました。クラウドがあれば、お客様との接点が少ない事務スタッフが電話を受けても、すぐに「◎◎町の□□様ですね。先日はうちの△△がお伺いして…」といった言葉がすぐに出てきますし、「情報共有をちゃんとしている会社なんだ」という安心感をお客様にもっていただくことができます。
こんなふうに、社員全員が同じ情報に触れることができるのもクラウドのメリット。導入時に社員全員に1台ずつiPadを配り、いまでも日常的にどの機能が便利か、どう使うと面白いかといった情報を社内で共有しているので、みんな自然と使えるようになりました。

次の目標は「工事の平準化」

僕がいま目指しているのは、1年間で手がける新築を12棟と決め、質の高い住宅をコンスタントに提供できる体制をつくること。そのためには、1棟あたりの粗利と単価を上げ、毎月1棟工事ができるよういろんな工程を平準化したいと思っています。
その際にもクラウドは欠かせません。職人さんごとにきれいに工程が並ぶように1年先までスケジュールを押さえ、当社の現場にスムーズに入れるしくみをつくりたいんですよね。「あすなろ建築工房はいつもいい仕事をコンスタントに任せてくれるから、自分たちもいい仕事をしよう」と思ってもらうことが、直近の目標です。